14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/19(水) 07:41:39.69 ID:feqdZMQ+0
まるで物置小屋のような建物が並ぶ場所へやってきた
ところどころ錆び付いて、ところどころが腐りかけ
時間に蝕まれた建物の中からひょっこり現れたのは
この場所にはもったいない少女だった
やよい「旅の人ですね、ようこそっ!」
しっかりしたあいさつに、自分は黙って会釈した
やよい「ここは涙の地、ここには何もありません」
この子の顔に、浮かぶものは笑顔なのに、なぜ涙と言うのだろうか
やよい「旅の人が来たから歓迎しまーす!」
小屋の中に入って、ちゃぶ台の前に腰を下ろした
一瞥くれてやるだけで、この辺りの貧しいことが分かった
不揃いな食器、色落ちたペンキ、雨漏り受けるバケツ
やよい「おまたせしました!ごちそうです」
目の前に置かれたのは、丁寧でいてぞんざいな料理だった
やよい「それでは一緒に、いただきまーす」
合唱して早々にあいさつを済ませ、料理を口に運んだ…味は分からなかった
やよい「久しぶりにつくったけど、とってもおいしいです!」
久しく作られていないという御馳走
それは、旅人がここに伺うことが希有だということを教えてくれた
やよい「この地へは、あまり人が来ません…」
自分の暗い顔を見て察したかのように、語ってくれた
やよい「うちは貧乏で、食べ物も少ないから…でも、来てくれると嬉しいです」
悲しいことなのに、少女は笑顔を絶やさない
涙を忘れてしまったかのように、その目からは何も零れおちない
辛いときは、泣いていいんだよ
そうしないと気持ちは伝わらないんだよ
心と目で訴えながら、少女を見続けた
この少女に人並みの贅沢ができますように
笑顔を見るのが辛いから、目をそらしてその地を出た
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