29:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 00:53:35.47 ID:1EfmocP90
歩いてきたのは思いやりの地
みすぼらしい服装で、子供たちを見守る女性
片や貧相、片や裕福
子供たちは、潤いすぎていた
彼女は、乾ききっていた
あずさ「旅人さん、いらっしゃいませ〜」
絶えず笑顔咲く、何を嬉しく思っているのだろう
彼女にプレゼントを持ってきた
女性が持つには不相応、子供が持つには相応な
何時しか廃り、見かけることも無くなった玩具
あずさ「子供たちへのお土産ですか?ありがとうございます」
勘違いをしないでほしい、これは一つだけで貴女一人だけへの代物なんだ
あずさ「これを…私にですか?」
他の誰でもない、貴女へのプレゼント
女性は少女、我儘を言うのが遅すぎて
女性は謙虚、諦めるのが早すぎて
女性は母親、その任を担うには幼すぎる
貴女はまだ子供だ、子供のうちは精一杯我儘に努めなきゃ駄目だ
そんなあなたを、贔屓したいんだ
こんな玩具、貴女には無用の長物かもしれない
こんな玩具、流行りの玩具に比べたら笑われるかもしれない
でも、そんな貴女が幼いころに流行った玩具なんだ
あずさ「私だけの……おもちゃ」
―――
――
―
女性は静かに泣いていた
生まれが早いだけで、譲ることに回されて
それに疑問を抱かなくなったとき、少女は女性を騙った
我儘を忘れて、主張をやめて
スポットライトから外れ、舞台から降りてしまった主役
あずさ「ありがとう、ございます」
女性は声を震わせて言った
―――
――
―
少女は玩具で遊んでいた、その顔は子供たちと同じだった
穢れのない屈託無い笑顔は、紛れもなく少女だった
少女は子供たちと手をとって
夕闇の街へと走って消えていった
42Res/55.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。