32:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 22:50:37.49 ID:hchADsOa0
歩いてきたのは涙の地
その地の貧しさには、憐みの涙が募る
やよい「また来てくれたんですねっ!」
嬉しそうに少女が出てきてくれた
実がなるときにこぼれて消えた、野菜の種を袋いっぱいに持ってきた
この地を満たしてくれると信じて植えよう
やよい「野菜の種ですか?」
この子にいっぱい御馳走してあげたいから
一生懸命地面に植えた
―――
――
―
来る日も来る日もしっかり手入れして、月日がたって出来上がった野菜畑
やよい「うわー、すごいです!」
キラキラした目で少女は感動していた
さあ、食事にしよう
真っ赤な実をつけ、まるで果実のように甘いトマト
緑のとげがしっかりついて、そのまま齧り付きたくなるキュウリ
黄色い粒がたくさん膨らんだ、のっぽなトウモロコシ
今度は自分が御馳走する番だから
腕をふるって、ごちそうをつくろう
―――
――
―
出来上がった料理を見て、少女は声より先にお腹で声をあげた
やよい「えへへ…食べてもいいですか?」
もちろんだ、一緒に手を合わせて、いただきますをした
やよい「モグモグ……」
無言で食べる彼女は必死だった
やよい「こんなにおいしい料理、食べたことありません」
心の底から感動している様子をみて、嬉しかった
ふと、彼女は泣いていた
やよい「モグモグ…あれ、美味しくて嬉しいのに…なんで涙が…?」
誰にも頼らず生きてきた少女に響いたのは優しさ
人にやさしくされることなど無かった少女
こんな悲しさしか転がっていない地で
一人懸命に笑顔を作って生きている少女が、初めて泣いた
豊かな実を成らした野菜がこの地へ転機を持ってきた
少女はまた笑う
涙の粒は地に落ちて、
満開な本当の笑顔を実らせたのだった
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