34:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/26(水) 00:16:04.23 ID://JZ1kXC0
歩いてきたのは記録の地
春香「ようこそ、旅人さん」
淡々と、前と同じ言葉を放った
彼女には、最初に渡しておかなきゃいけないものがあった
取り出したのは、誰かが忘れてしまった心
彼女に手渡すと、静かに溶けていった
P「君に話したい欲しいことがあるんだ」
P「ある地で出会った少女達の、心に出会う旅の話を」
ここに来るまで起こった全て、ここに来るまで思った全てを、少女に吐き出した
全部が全部、自分の記憶、自分の記録
とにかく貴女に伝えたかった感情を吐露した
―――
――
―
全てを喋り終えて、彼女も自分も泣いていた
春香「あなたの記憶を記録しました」
嗚呼、あの心は間違いなくこの子のものだった
春香「私には、記録することしかできません」
春香「旅人さんが嬉しそうに語れば、私はまだ見ぬ遠い地を思い、笑みを零し」
春香「旅人さんが悲しそうに語れば、私はまだ見ぬ遠い地を思い、涙を流し」
春香「旅人さんが愛おしそうに語れば、私はまだ見ぬ遠い地を思い、恋焦がれます」
春香「いつでも私のできることは、そんな記憶を記録すること」
春香「今にも張り裂けそうな感情を、私は奥底へと閉じ込めてしまいました」
そしていつしか、本当に心を忘れて置いてきてしまっていた
少女は語り、涙を流していた
様々な場所を知っている彼女は物知りで
様々な人と喋る彼女は聞き上手だった
でも彼女は、いつだって無力な傍観者だった
それを悟った自分は泣いていた
春香「こんな無力な傍観者を貴方は黙って赦すといいますか?」
かつて言った自分の言葉を彼女が言った
自分は何も知らなかった、知らないことが罪だった
一番辛いのは彼女自身だったのに
一番身勝手なのは、自分自身だったのに
春香「でも、心を思い出すことができてよかったです」
涙をぬぐい、彼女は無理やり笑顔を作った
春香「また私は、旅人さんの為に笑って、泣いて、怒って、恋します」
春香「心を共感することが、私の唯一力になれることですから」
いまさら彼女を赦す自分を、彼女は赦してくれたのだろうか
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