6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga sage]
2014/03/17(月) 02:36:11.39 ID:d7SAN4gj0
歩き疲れ、少し休みたいと
目にとまった宿に足を向けた
木のしっかりとしたドアを開け、宿の中へ
律子「いらっしゃいませ、安堵の地へようこそ旅人殿」
メガネをくいっと直し、口早に彼女はそう言った
安堵と言うことは、落ち着けるという意味だろう
律子「5分と20秒ほど待っててくださいね」カキカキ
自分以外の客人も多々居るようだ、見たところこの店は繁盛している
律子「1分2秒後、案内完了…1分50秒後次の接客」
ぶつぶつと聞こえる声は、不気味なほど細かく決まったスケジュールのようであった
その分秒違えず、スケジュールを彼女はこなしている
5分程度たったころ、先ほどの彼女がこちらへやってきた
律子「5分20秒…お待たせいたしました、お部屋へご案内します」
時間ちょうど、その正確さに驚きを隠せないまま部屋へと案内された
―――
――
―
次の朝、騒々しい声に重い瞼を持ち上げた
律子「申し訳ございません!申し訳ございません!」
何事かと別の客人に聞いたところ、どうやら予定の時間を過ぎて接客してしまったらしい…2秒ほど
不思議なことに客人が怒っている様は見受けられない
ただ一方的に少女が頭を下げているだけだ
誰も求めていない正確さに、何か意味があるのだろうか
人間らしくもない彼女を、安堵させてもいいじゃないか
誰かが口をはさむ前に彼女は次の接客を間にあわせるべく、自分を急かした
宿賃を払う際、彼女に急いで時計をプレゼントした
5分に1分遅れる壊れた時計を
律子「ありがとうございます、3分10秒後…」
早速新しい時計を使ってもらえたようだ
どうか彼女に、1分1秒でも予定のない時間が訪れますように
自己満足な思いやりを押し付け、宿から飛び出した
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