2: ◆2DegdJBwqI[saga]
2014/03/19(水) 14:53:57.58 ID:piabdirRo
〜☆
上条恭介は、かつて己が入院していた病院のとある病室を前に、少し憂鬱な面持ちで佇んでいた。
恭介にとって病院とは、自分からは絶対に近寄りたくない曰くつきの場所だった。
彼の右手が無意識に自身の左腕に触れる。最低最悪の過去。
あんなにも辛く絶望的な体験を、嫌でも思い出さずにいられない病院という場所。
自分の動かしているこの左腕が、またいつか何かのきっかけで動かなくなるんじゃないか?
毎日ごくありふれた生活の中で、そんな思いにふと心を苛まれることがある。
おかしくなるかもしれないのは左腕に限った話ではない。
右腕、目、耳。何だっていい。極端に命と言い換えてもいい。
どれかがポロリと、その機能を失って役に立たなくなるのではないか?
そんな漠然とした不安。とはいえ別に大した不安ではない。
ただ、出来るうちにやりたいことをやらないとダメだ、
そんな気持ちをぼんやり掻き立てられるに過ぎない。
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