10:マウンダー極小期、百貨店、遊戯王[saga]
2014/03/21(金) 23:40:37.17 ID:wiMAJbATo
百貨店は僕の家からまっすぐ行けば着けるから、迷ったりはしなかった。
自動扉の立派な入り口から中に入ると百貨店の店員さんがお客さんのおじさんと何か話しているのが見えた。
「こんにちは」
声をかけると店員さんは、「やあ、いらっしゃい」とにっこり笑った。
「今日は何が欲しいのかな」
「遊戯王のカードが欲しいんです。とっても珍しくてかっこいいやつです」
それを聞いて、にこにこしていた店員さんは途端に眉毛をハの字にした。
「ええと、普通のカードじゃ駄目かな?」
「普通のじゃダメです。珍しくて、かっこいいやつじゃなきゃ」
「……ごめんよ、坊や。ここにはそれは売ってないんだ」
「え? だって、百貨店には何でもあるっておかあさんが……」
プレゼントを渡して妹を喜ばせてあげられないって事が悲しくて、僕が泣きそうな声でそう呟くと、僕の前にいたおじさんも声を上げた。
「私も百貨店に行けば何でもあると伺ってここに参ったのですが……」
おじさんも欲しいものが売ってなかったみたいだ。
僕とおじさんにそう言われた店員さんは、困った顔で「実は」と話し出した。
「ここは、正確に言えば百貨店ではないのですよ」
えっ、と僕とおじさんが驚いていると、店員さんは「外の看板をようくご覧ください」と言った。
僕とおじさんは一度顔を見合わせ、それから外に出て看板を見た。
そこにはこう書いてあったんだ。
『白貨店』
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