過去ログ - 【オリジナル】遠苑涼花「私は……誰もが憧れる人として――」
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2014/03/26(水) 11:04:52.07 ID:hgcCYf5+o
 他者を心の中で笑い、論う――そうして私はこれまで自身を保ち続けてきた。
 そうしなければ、誰もが憧れる人間を続ける事なんて到底出来る訳がないから――。

 ――ニ〇ニ五年三月、神奈川県横須賀市にて。

涼花「本当にお父様は勝手過ぎる……そう思わない?」

恋華「涼花お嬢様――私には申し上げ難い問題ですので……」

涼花「あら、そうかしら? これは貴方の事でもあるのよ」

恋華「と……申されましても――」

 こうして弄っているのは――桐生恋華、数年前に私付きの侍女として付き従う事となった女性。
 そして今、私と恋華は【華丘人工島】と呼称される、いわゆる辺境の島に向かう為、横須賀港に向かっている最中よだった。

涼花「――大きな船ね」

恋華「あれは米海軍の航空母艦、USS Gerald R.Fordですね」

涼花「ふーん……前々から思っていたけれど、そう言う無駄な知識だけ豊富なのね」

恋華「お褒めの言葉として受け止めさせて頂きます」

涼花「いや、褒めてないから……それより貴方、その堅苦しい喋り方いつ変えるのよ? いい加減、息苦しくて仕方ないわ」

恋華「それも――申し上げ難い事です……」

 恋華との会話も数十分――乗車している車が停車した。どうやら横須賀港に到着したようね。
 恋華は車から必要最低限の荷物を取り出し、私と恋華は乗船ターミナルのロビーに向かう。

 平日の午前と言う事もあってか、施設内は閑散としていた。
 それに……それもその筈で、今日は、【華丘人工島】行きの客船がニ便あるだけだからね。

涼花「私は乗船手続きしてくるから、貴方は荷物をお願い」

恋華「涼花お嬢様、畏まりました」

 午前の便が出稿するまで時間もない為、私は急ぎ乗船手続きを済ませる。
 そして手続きを済ませ、乗船ターミナルに向かうと――そこには中型の客船が停泊していた。
 
 外観は至って普通の客船だけれど、客船内部は意外と綺麗で清潔感もあり設備も悪くない。
 これなら……まぁ及第点かな。
 それに此処で不平不満を言った所で、私が辺境の島行きになる事に変わりはないものね。

恋華「涼花お嬢様は三〇四号室、私は隣の部屋となります。主人様に無事、出発出来た事を連絡致します。後ほど伺います。では――」

涼花「はぁ……恋華と一緒に居ると、肩が凝って仕方ない」

 私は手荷物を適当な場所に置き、ベッドに飛び込んだ。
 それにしても、私を辺境の島送りにするなんて……お父様も一体、何を考えているのかしらね。
 折角、都内の名門私立校に進学する筈だったのに――それを急遽、覆すお父様の意図が分からない。
 
 ――まぁ私からすれば、名門私立校なんて興味も無いから別に良いけど……。


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