過去ログ - 美海「憑き物落としをして下さい」京極堂「――話を聞こう」
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2:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:24:46.73 ID:MYBdW6af0
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びゅうびゅう――
びゅうびゅう――
音がする。海の音―――いや風、海風だ、海風の音だ。

びゅうびゅう――
びゅうびゅう――
船が進む。浮き上がる(――沈む)

びゅうびゅう――
びゅうびゅう――
あぁ――目が醒める。醒めてしまう。
夢から醒める―――時が進む(――戻る)

そこで私は微睡みの中から浮かび(――沈み)
太陽の光の元へ晒されたのだった。


びゅうびゅう――
びゅうびゅう――
車窓から見る海は白銀の絵の具に覆われ、乱反射した光が時刻を狂わせていた。
海の向こうに見えるのは朝日か、夕日か――幾ら見てもそれが朝の景色なのか、夕暮れの景色なのか判らない。
時が止まっているように見えた。
あぁコキュートス、氷漬け地獄だ。――氷漬けにされた海の底には裏切り者の罪人が――
罪人が氷漬けになっている。
動く物は電車に乗った自分だけ。時が止まった世界で進むのは自分だけ。
異界だ。自分はまた異界へ足を踏み入れるのだ。
罪人はコキュートスで氷漬けになる――私も彼処で――もしかしたら――
恐らく――

自らの意志とは関係なく――電車は異界へ。
関口巽は微睡みの中の不完全な覚醒の中、件の鴛大師市に足を踏み入れた。


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