過去ログ - 【艦これ】提督「そしていつかは」隼鷹「夢見た航路を二人で」
1- 20
27: ◆1aois5N.L2[saga]
2014/03/29(土) 22:15:09.18 ID:4As/q9du0
あれだけの女が自分に惚れたわけが、よくわからない。

自分が一方的に迷惑をかけたようなものだというのに。

提督「なんでだろうなあ……ん?」

その時、提督は隣に気配を感じた。

提督(なんだ……そこにいたのか)

彼女が、そこに変わらぬ笑みを浮かべて寄り添っていた。

あの時と変わらぬ、白磁のような肌を持つ腕が伸びて、そっと瓶を持ち上げた。

提督「まだ出てくるの早いだろう……お前」

珍しく、悪態をついてしまった。

彼女がいなくなってからは、言い合う仲もいなくなったためか、他の人よりも物静かだと思われていた。

しかし、その悪態に笑みで返した彼女が瓶の注ぎ口をこちらに向けた。

提督「ふっ……あの時と同じ月見酒か」

口元へ、淵まで入った猪口を運んでいきながらつぶやいた。

提督「杯に映らなくても、綺麗な月だな……隼鷹」

わずかに残っていた酒が喉へと吸い込まる。

その猪口は静かに机の上へと置かれ、二度と持ち上がることはなかった。

その日の日付は奇しくも1972年(昭和47年)8月1日。

彼女に遅れながらも、提督は同じ日に静かにこの世を去った。

平均寿命が延び始めていた日本においては、いささか早い老衰だった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
270Res/211.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice