過去ログ - 京太郎「あの人が言っていた」 part2
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812: ◆EEGknAt6l2[saga]
2014/12/21(日) 22:00:59.37 ID:KcdS6+OC0
 人生の転機とは大なり小なり誰にでも訪れるものだ

 京太郎の場合、それは中学二年の冬だった


京太郎「嘘、だろ……?」


 車との接触事故

 担ぎ込まれた病院で京太郎に告げられたのは、残酷な事実だった


「残念ながら……日常生活には支障はないでしょうが、ハンドボールを続けるのは無理でしょう」


 生きがいだったかと言えば、それは少し違う

 それでも、今まで積み上げてきたものがあった

 入学後まもなく勧誘されて、物珍しさから入った部活

 才能があったのか、元々体を動かすのが好きだったのもあいまって、京太郎はめきめきと頭角を現していった

 最初の年は目立った成績を残すことは叶わなかった

 中学二年の夏には、全国にまでこぎつけた

 そして来年度こそは優勝をと誓った矢先、この事故だ

 京太郎はしばらくふさぎ込み、チームメイトや両親、長い付き合いの友人ですら完全に立ち直らせることはできなかった

 春が終わるころには笑顔を取り戻していたが、心には空虚が残った


京太郎「麻雀か……」


 スポーツ推薦を諦め、進学のために一足遅い受験勉強を始めた京太郎の興味を引いたのは、世界的に有名な競技だった

 やったことがなかったわけじゃないが、体を動かすことを好む京太郎にとって、テーブルゲームの類は遊びに過ぎなかった

 だが打ち込んでいたものがなくなって、心に余裕、というか隙間ができて、周囲で麻雀をやっている人の姿が目に映ったのだ

 正直理解はできなかった

 京太郎にとって麻雀はほとんど運に左右されるゲームという印象だったからだ

 それでも、必死に打ち込んでいる人の姿にかつての自分の姿を重ねた

 肩の負傷を抱えた自分でもできるのなら、心に空いた穴を埋めてくれるのなら

 半ば縋るように、京太郎は麻雀を学び始めた

 進学先も地元から離れた強豪校へと変更

 卒業までの時間を麻雀と受験勉強に費やした


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