18: ◆InfI0vlg76
2014/04/01(火) 09:01:22.13 ID:V7PLv1990
元気よく階段をかけ上がる佐天を、困ったような顔で初春が追いかける。そんないつもの光景を見ていたクラスメイトが、口を開いた。
「ねー涙子。涙子と初春さんって結構タイプ違いそうだけど、仲良くなったキッカケとかってあるの?」
「きっかけ、ねえ」
自身の机に突っ伏して息を調える初春をチラッと見て、答えようとする――その瞬間、背筋になにかが走る。
(なに、これ…?あたし…?)
とっさに頭の中に話が構築され、どう動きどんな声ではなしどれだけ間を取ればいいかが鮮明に浮かんでくる。
一見、上手な話し方をサポートしてくれるいい能力に思える。だが、
(こんな…この話の中のエピソードなんて…知らない!)
その話の中身は、ほとんどが嘘だった。
「涙子ー?どうしたのー?」
「ちょ、ちょっと待って…思い出してるから」
ちょうどいい具合の嘘を作り、完全な演出の方法まで手に取るようにわかる――これが佐天の能力の一部である。
(折角手に入れた能力…少しだけなら。いやいや、だめ!折角新しいクラスメイトが話しかけてくれたんだから、正直に答えないと!)
「えっとねー、最初の席替えで席が前後になったんだけど、その時にさー」
結局、佐天が話し出したのは、『本物』の方だった。
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