30: ◆InfI0vlg76
2014/04/01(火) 12:14:48.47 ID:V7PLv1990
一週間ほどのち。
「はいもしもし。…えっ?あ、はい。私が作るんですか?え?はい、ああ…わかりました。はい、はい、それでは」
電話を終えた初春が困ったような顔で振り向いた。
「すみません、少し呼び出しがかかって…」
「ん?なんか事件なの?」
自然に返す佐天だが、本人は気づいていない。いつもの彼女なら、『気にしないよー、がんばってー』とか言うところなのだが、そのようなことを言っていないことに。
理由は簡単。
(私、やっぱり初春がこうして行っちゃうのは寂しいから、気にしてないって言うと嘘になる)
そして、嘘をつくときや後ろめたいことがあるときには、勝手に能力が発動してしまうのだ。
ここ一週間と言うもの、『建前』の言葉を口にすることを躊躇うようになった佐天の異変に気づいていないのは、本人だけである。
(…嫌だ)
『あたしは人を騙していたいんだよ。認めようよ』
不意に脳裏に、先週見た夢が蘇った。
佐天は下を向いて唇を噛む。
(違うの…あたしは、初春を騙すのなんて嫌だ)
初春はそんな佐天のわずかな変化に気づいてはいるが、詳しいことは聞かない。話してくれるまで待つのも親友の努めだ、と分かっているからだ。
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