43: ◆InfI0vlg76
2014/04/01(火) 18:29:16.18 ID:V7PLv1990
「っ!!」
バサ、と起き上がると、眩しい光に目が潰れた。
ゆっくり目をならすと、近くに二つの人影が見える。
「あ、起きた?」
「突然倒れるからびっくりしましたのよ」
「ここは…」
キョロキョロとあたりを見回す。滑り台やジャングルジムがあり、それより近いところに黒子と御坂が立って心配そうな表情をしている。
「公園…?」
どうやらベンチに寝かされている、と気付くと体を回してベンチに座る。そんな佐天を前に、二人は気遣わしげに口を開いた。
「最近急に暑くなったり下がったりするから、そのせいだと思うけど。心配したわよ」
「大丈夫ですの?」
黒子の質問に答えようとした瞬間、あの夢がよみがえる。
とても怖い夢で、到底今大丈夫とはいえない。
言おうとすれば、否応なく能力が発動するからだ。
そう、先程までの佐天ならば、言えない。
だが。
「ぜんっぜん大丈夫です!ちょっと寝不足で…あはは、すみません」
佐天は大きく笑って、嘘をついた。
(どどどど、どうしよう!あたし、二人に能力を――)
動揺する佐天を前に、黒子と御坂は心配を残しながらも柔らかく笑った。
「ならよかったけど…あんまり無理しないでよ?女の子なんだし」
「寝不足は女子の大敵ですのよ」
「そうですねー。宿題溜めちゃってて」
嘘だ、と頭の中で叫ぶ。宿題は最近、毎日しっかりやっている。
能力が勝手に発動してる。止めなきゃ――
(でも、もし本当のことを話したら、あたしは)
確実に彼女らを失望させ、彼女らの楽しい毎日に水を差すことになる。
(…仕方ないよね)
こんな能力を持ってしまった時点で。
使うことを選ぼうと、使わないことを選ぼうと
、どちらにせよ。
みんなを騙し続けなければいけない状況に陥っていたのだ。
佐天はもう一人の自分に身を任せて、静かに流れを見守った。
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