1: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:41:41.70 ID:s7jfH0k+0
 
  
 桜舞う公園で、一人の少女が歌っていた。 
 頭に可愛らしいリボンが乗っている。 
 資料によると彼女のトレードマークなんだそうだ。 
  
 P「今日から君の担当プロデューサーだ、よろしく」 
  
 少女は不思議そうな顔をしていたがすぐに柔らかな笑顔を見せてくれた。 
  
 春香「天海春香です、よろしくお願いします!えっと……プロデューサーさん!」 
  
 元気よく挨拶しながら、言い慣れないプロデューサーという言葉にはにかんでいる。 
 笑顔が魅力的な少女、それが春香の第一印象だった。 
  
 P「それじゃあ事務所に行こうか」 
  
 春香「はい!」 
  
 春の陽気を孕んだ風が身体を撫でるのがとても心地よかった。 
  
 
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2: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:43:48.58 ID:s7jfH0k+0
  
 事務所でお互いの自己紹介を一通り済ませ、早速今日からレッスンの運びとなった。 
 まずは彼女に今出来る事を見せてもらう事に。 
  
 P「うん、ありがとう」 
3: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:44:15.58 ID:s7jfH0k+0
  
 P「ははは、ごめんごめん。ついね」 
  
 春香「む〜、意外といたずら好きなんですね」 
  
4: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:45:48.75 ID:s7jfH0k+0
  
 次の日からもレッスン。 
 正直に言えばお世辞にも歌が上手い訳でもなく、ダンスにも秀でているわけでもなかった。 
 それでも歌っている時、踊っている時、この子は本当に活き活きと楽しくやっている。 
 よく転ぶし音程も外したりするけれど、その表情を見ていると不思議と引き込まれてしまって応援しようという気持ちになる。 
5: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:46:21.50 ID:s7jfH0k+0
  
 P「最初は不安になるかもしれない、合格できないかもしれない」 
  
 春香「…」 
  
6: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:46:49.84 ID:s7jfH0k+0
  
 P「それに、天海さんならイケると思ったから提案してるんだ。俺は大丈夫だって信じてる」 
  
 春香「プロデューサーさん……」 
  
7: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:49:02.23 ID:s7jfH0k+0
  
 春香「何だか距離を感じちゃうから、私の事は春香でいいです」 
  
 P「……分かった。これからもよろしく、春香」 
  
8: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:51:58.71 ID:s7jfH0k+0
  
 それから数日が経ち、今日はオーディションの当日。 
  
 P「春香、初めてのオーディションだけど上手くやろうとかは考えなくていい」 
  
9: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:54:13.19 ID:s7jfH0k+0
  
 P「お疲れ様、春香」 
  
 春香「プロデューサーさん、お疲れ様です」 
  
10: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:54:41.36 ID:s7jfH0k+0
  
 春香「……すいません」 
  
 P「落ち着いたか?」 
  
11: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:55:07.88 ID:s7jfH0k+0
  
 P「そういうときだってあるさ!」 
  
 春香「そう……ですけど……」 
  
12: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:56:53.51 ID:s7jfH0k+0
  
 P「この悔しさが、必ず春香を成長させてくれる」 
  
 春香「…」 
  
13: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:58:52.68 ID:s7jfH0k+0
  
 オーディション会場を後にして、薄暗くなった街を連れ立って歩く。 
 春香の表情に先程よりかは随分と明るさが戻ってきていた。 
 洒落た店に入れれば良いのかもしれないが、生憎そういった店とは無縁だったため案内できるのはラーメン屋くらいになってしまう。 
  
14: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:59:27.49 ID:s7jfH0k+0
  
 春香「今日はすみませんでした…」 
  
 P「ん?あぁ、まあそんな日もあるさ。これを引きずらないよう切り替えて次頑張ろう」 
  
15: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 00:59:55.69 ID:s7jfH0k+0
  
 P「春香が楽しそうに、笑顔で踊ったり歌ったりしている所がこの短い期間で見つけた春香の長所だと思う」 
  
 春香「笑顔で楽しく…」 
  
16: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 01:01:17.78 ID:s7jfH0k+0
  
 P「さぁ、反省会も済んだし食べよう」 
  
 春香「はい、ありがとうございます」 
  
17: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 01:03:57.20 ID:s7jfH0k+0
  
  
 ――― 
  
  
18: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 01:06:17.12 ID:s7jfH0k+0
  
 初めてのオーディションから数日、俺たちは二度目のオーディションを迎えた。 
  
 P「春香、いつも通りに行こう」 
  
19: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 01:06:51.52 ID:s7jfH0k+0
  
 P「お疲れ様、春香」 
  
 春香「プロデューサーさん……。私……私……」 
  
20: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 01:07:19.15 ID:s7jfH0k+0
  
 P「よし行こう、収録始まるぞ」 
  
 春香「はい!」 
  
21: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/04/04(金) 01:09:31.67 ID:s7jfH0k+0
  
 P「オーディション初合格、おめでとう」 
  
 今日まで一所懸命頑張ってきた春香に賞賛を贈り、頭を軽く撫でる。 
  
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