過去ログ - 穏乃「麻雀に、おかしなことはつきものだ」
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11: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:17:18.61 ID:ZO2+Qwfe0

 本殿をこんなに間近でみるのは初めてだ。
 空気が刃のように研ぎ澄まされて、神聖な雰囲気である。

「ここまで来てだけど、触っても大丈夫だよな……?」

 流石に一瞬で砂になってしまうとかはないだろうが、神聖なものにはできるだけ常日頃から触らないようにしている私である。
 恐る恐るといった風に、私は本殿の襖障子をノックした。私が砂になることはなかった。

「……」

 暫く待っても返事がないため、聞こえなかったのかな、とか思案していたら、襖障子が独りでに開いた。
 自動ドアなどでは勿論なく、向こう側から誰かが戸を開いたのだ。
 そして、その誰かは一人しかいない。

「さ、さっきぶり」

「…………? ……! ……!?」

 小さく手を上げて戯けると、憧は涙を目一杯溢れさせながら、驚愕に顔を染めて口をぱくぱくさせていた。
 実に器用な表情筋である。可愛い。
 ってそうじゃない、私は真面目な話をしに来たんだ。

「あのさ、憧……」

「……! ……!」

 まるで、待ってとでも言いたげに、憧は胸の前でぶんぶんと手を振った。
 待った。
 本殿を飛び出した憧は、三分くらいして戻ってきた。
 また逃げられたのかと思ったが、杞憂だったらしい。



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