過去ログ - 穏乃「麻雀に、おかしなことはつきものだ」
1- 20
6: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:06:21.58 ID:ZO2+Qwfe0

 部活動を終えて、私と玄さんは共に帰路についていた。
 夏に入ろうかという季節だが、この時間には太陽はすっかりその姿を消し、紺色の空が天を覆っている。

 他愛のない話を繰り返しながら、私達は自分の家に帰る。
 そんな当たり前の日々が、今はどうしようもなく愛おしく、懐かしい。

「じゃあまたね。穏乃ちゃん」

「はい。また明日」

「うんっ、また明日!」

 玄さんの家の前で、私達はいつものように別れる。
 大きく手を振る玄さんを尻目に、私は再び歩き始めた。

 このまま道を下って、黒門を通り過ぎた先に高鴨家はある。
 ロープウェイ乗り場の真ん前にある和菓子屋なので、吉野に行くことがあればぜひ寄って行ってほしい。

「……ん?」

 と、黒門を抜けた矢先、駅から人が出て来るのが目に付いた。
 丁度ロープウェイが到着したところだったらしい。
 殆どの人の顔を知っている。まあ狭い田舎町だから当然といえば当然だが。

 だが、その中でも一際目立っていた人の顔は分からなかった。
 深く深く、パーカーのフードを被っていたからである。

 身長は一五〇前後だろうか。体つきは華奢で、たぶん女。
 その手に学生鞄を持っていることから、学校帰りであることが窺える。
 表情は見えないが、首元から流された明るめの茶髪が街灯の光を受けてきらきらと輝いていた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
199Res/144.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice