2: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:25:36.58 ID:+vBuRsZwo
「千早ちゃんの、ばかあああああ!!!!!」
春香が、叫びながら事務所を出て行った。
私は、俯いて肩を震わすしか出来なかった。
3: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:26:27.36 ID:+vBuRsZwo
―――
「千早ちゃん、おはよう!ドーナツ作ってきたんだけど、食べる?」
「…ごめんなさい、春香。そろそろレッスンの時間だから…後でもらってもいいかしら?」
4: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:27:11.78 ID:+vBuRsZwo
「ただいま戻りました。」
「お帰りなさい、千早ちゃん。」
昼頃、事務所に戻ると、音無さんへの挨拶もそこそこに早速ドーナツを探す。程なく、テレビの前の机に置いてあるのを見つけた。
5: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:27:42.87 ID:+vBuRsZwo
「あ、千早ちゃん、ドーナツ食べてくれたん………。」
春香の顔がみるみる曇っていく。何があったのだろう、と食べているドーナツを飲み込んで、口を開こうとすると。
「そ、それ…っ、プロデューサーさんに、って…作ったのに……。」
6: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:28:34.82 ID:+vBuRsZwo
ソファーで先ほどの会話を思い返して、もっと言いようがあったのではないかと後悔していると、
ぽつり、膝に置いた手に涙が当たる。 一粒の涙は、やがて雨に変わり、喉からは嗚咽が漏れ出す。
「千早ちゃん…ええと、元気、出して、ね?春香ちゃんには私からもここに置いてあった、って説明するから。」
7: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:29:08.31 ID:+vBuRsZwo
暫く泣いていると、肩をとんとん、と叩かれる。顔を上げると、律子が立っていた。
「千早、そろそろレコーディングの……。千早?どうしたの?」
「…律子…。春香と、喧嘩をしてしまって…。」
8: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:29:48.03 ID:+vBuRsZwo
レコーディングは良い出来とは言えなかった。
今日は新曲のデモテープの収録だったとは言え、私は全く納得がいかなかった。
それも春香との一件があってから、だろう。歌っているときも思い浮かぶのは春香の泣き顔。
どうしようもなく悲しかった。とぼとぼと律子の後に着いていき、車に乗り込む。
9: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:32:03.90 ID:+vBuRsZwo
「そう、ね…。まずはしっかり謝る事。謝ったら、ちゃんと説明すればきっと分かってくれるわよ。」
「それと、…お詫びにドーナツを春香に作ってあげたら?」
「…え?」
10: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:32:44.40 ID:+vBuRsZwo
「千早っっ!!すまん、本当に!!」
事務所に戻るなり、プロデューサーが手を合わせて謝ってきた。
律子と顔を見合わせた私は、何があったのかと問いかける。
11: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:35:53.89 ID:+vBuRsZwo
帰り際、音無さんに料理のレシピを検索できるホームページを教えて貰った。
ここならきっとドーナツの作り方も乗っている…だろう。検索してみると、ドーナツ一つでも沢山あるようだ。
「ホットケーキミックスでも作れるのね…。」
12: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/04/05(土) 07:36:17.62 ID:+vBuRsZwo
指定された材料を購入し、家に帰ると、早速ドーナツ作りに取りかかる。
一々携帯を開くのは面倒だから、紙にレシピを書く。携帯は、充電しておきましょう。
材料を混ぜ合わせる。とても力がいる作業だった。
「これをいっつも春香はやっているのね…。」
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