過去ログ - 安部菜々「笑顔の魔法と月うさぎ」
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47: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 00:31:45.43 ID:ZY3wZcyuo
ああ、洗濯物溜まってたんだった……
足の踏み場はあるけど、流石にもうちょっと小奇麗にしないと。
「お茶用意しますから、座っててください。ちょっと散らかってますけど、あはは……」
48: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 00:34:30.70 ID:ZY3wZcyuo
とりあえず炊飯器のスイッチを入れて、緑茶をいれる。
お茶うけは……落花生みそが余ってるし、それでいいかな。
「あ、このアイドル懐かしい……子どもの頃、大好きだったんです!」
49: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 00:57:51.56 ID:ZY3wZcyuo
そんなことを考えながらお茶をすすっていると、
「え……これ……」
卯月ちゃんの視線が、一点で止まっていた。
50: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 01:02:19.63 ID:ZY3wZcyuo
「ふ、ファン!? 菜々ちゃんが、私のですか?」
「あはは……ナナも卯月ちゃんと同じなんです。子どもの頃から、アイドルが大好きでした」
だから、アニメの世界とアイドルのいる世界、そして現実を混同して。
51: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 01:06:57.45 ID:ZY3wZcyuo
アイドルになる。
そんな妄執だけで生きてきた当時の私は、限界の状態だった。
目を閉じても開けても、瞳に写るのは暗闇。
必死にもがいて、消えそうな光に向かって伸ばした腕すら、見えない。
52: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 01:12:28.95 ID:ZY3wZcyuo
「ステージで踊る卯月ちゃんの笑顔に、ナナは背中を押されました。勇気をもらいました」
もうくじけない、もっと光ると誓うよ。未来に、ゆびきりして。
「最後に……諦める前に受ける事務所はここにしよう。
53: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 01:20:36.15 ID:ZY3wZcyuo
「えへへ……なんだか、照れちゃいますね。でもうれしいです。
私も憧れてたアイドルみたいに、誰かに夢や希望を与えられてたんですね……」
彼女と私は……よく似ていた。
54: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 01:26:55.56 ID:ZY3wZcyuo
彼女には……笑っていてほしいと、強く思った。だから。
「これからも、卯月ちゃんのお仕事も恋も、後押しできたら……なんて」
さあ、笑わなきゃ。
55: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 01:37:46.27 ID:ZY3wZcyuo
緩やかな沈黙が、流れた。
ひとまず、夕飯の準備をしようかな……と思っていると、畳に置いていた携帯が震えた。
「あ、ごめんなさい卯月ちゃん、電話が……」
56: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 01:41:33.84 ID:ZY3wZcyuo
「……もしもし、ナナです」
「こんばんは、菜々ちゃん。卯月です」
部屋の中からと電話から、ステレオになって届く卯月ちゃんの声。
57: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/04/15(火) 01:52:09.51 ID:ZY3wZcyuo
「凛ちゃんは、すごいんです。
美人で背が高くて、歌も上手でかっこよくて……私、憧れてたんです」
渋谷凛……彼女は公私ともに、卯月ちゃんの一番のパートナーと言ってよかった。
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