45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/11(金) 19:44:20.62 ID:95e+9Xdq0
二人の目にはきっと、下着姿な上に泣きまくった挙句眠っている真美ちゃんの傍で、まるで事後のように半裸で座る僕――そう見えたに違いない。
その証拠に、二人とも部屋に入って来た状態で完全にフリーズしてしまっている。
ただ一点救いがあるとすれば、社長がいなかった事くらいだろうか。
「待て、言いたい事はわかる。だがその前に、僕の話を聞いてくれないか」
極めて冷静を努め、波風を立てぬよう二人に対し話しかける。
敵意はない、と両手を挙げるのも忘れない。
「…………」
水瀬と高槻は退きつつも一応、話を聞いてくれるようだった。
視点を僕に定め、僕の二の句を待っている。
さて、落ち着け。
落ち着くんだ僕。
ここで失言をしてしまった日には、765プロにいることすら難しくなってしまうかも知れない。
落ち着いて説明するんだ。
まずは――状況説明。
これはどう好意的に解釈しても僕に反論の余地はない。
何せ、半裸の成人男性がこれまた半裸の、しかも大泣きした跡のある女子中学一年生とひとつの部屋にいたのだ。
この状況にいくら僕が理論を並べ立て弁明したところで、十対零で僕が負ける。
これに関しては後ほど真美ちゃんに直接誤解を解いてもらうしかないだろう。
後は 、僕の態度だ。
盗人猛々しいとの言葉があるように、僕が悪い事をした訳ではないが誤解という壁に阻害されている以上、二人に警戒心や猜疑心を植え付けるような発言をしてはいけない。
となると、あくまで簡潔に、嘘偽りのない事実を二人に伝えることが重要なのではないだろうか。
古来よりも正直者は救われる、と言われている。
なに、僕も決して後ろめたいことがある訳ではない以上、下手に嘘をつくよりは素直に話した方がいいだろう。
……よし。心中は整った。
さあ、聞いてくれ水瀬、高槻。
「――――僕は、真美ちゃんを押し倒して服を脱がしてキスをしようとしただけだ。他意はない」
その日、とても気持ちのいい、乾いた音がふたつ、765プロダクションに響いたのであった。
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