過去ログ - 須賀京太郎「できたぜ優希! 押すたびに俺の存在感が希薄になっていくスイッチだ!」
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29: ◆0It35b3PanmG[sage saga]
2014/04/13(日) 00:26:31.81 ID:Ts+Ba0uR0
〜謎の廃墟〜

優希「ついたじぇ、京太郎」
 
 優希におぶさられつつ移動すること数十分。森の中にひっそりと佇む、錆びついた廃墟の前に着いた。

 見たところ元は中規模の総合病院だったようで、その廃墟は相当の大きさを誇っていた。玄関口からおよそ50Mは離れたここから見ても、その全貌を視界で捉える事はかなわない。

 おそらく白く塗られていたであろう外装は完全にはがれ、灰色のコンクリートの下地が露になっている。

 またそこら中に蔦類の植物が巻きついており、最早自然と同化していると言っても過言ではなかった。

 しかし、俺にはそれがただの廃墟であるとは到底思えなかった。人の目を欺くがために、仕方なくそういった風貌をしているのだと語りかけられているような、不思議な感覚に包まれたのだ。

京太郎「なあ、優希。ここは一体?」

優希「お! その口ぶりだと、ただの廃墟じゃないってことには気づいたようだな! ま、当たり前か。ここはお前のために存在するような場所なんだからな」

京太郎「俺のために……か。ここにお前の秘密が隠されてるんだな?」

優希「そういうことだじぇ! ま、お前にとって最早それは秘密でも何でもないがな。よし、先に進むじぇ?」

 そう言って、優希は軽快な足取りで玄関の中に入っていった。道中、ずっと俺をおぶさっていたにも関わらず、優希の顔は平然としていた。まるで、疲れという概念が優希の中から出て行ってしまったかのようだ。森の中なんて、雑用で鍛えられた俺でさえただ歩くだけでも疲れるというのに。

 玄関を抜けると、開けたエントランスルームにでた。空間の大半は味気の無い長椅子で占められており、奥には受付口が並んでいる。部屋の左右からは、診察室やそれぞれの病室に行くための廊下が続いている。

 何と言うか、俺の学校の近くにある総合病院にそっくりだ。長椅子の種類も、受付口の形も。その病院の内装を廃墟風にしたら、ちょうどこう言う風に……

 いや、おかしい。あまりにも同じ過ぎる! この場所、どこからどう見たって、清澄病院そのものじゃねえか……! 

 外面も、思い返してみれば清澄病院のそれだった。ただ、外の方は廃墟化の具合が内部よりも進行していたため、気づくことができなかった……。


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