27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/15(火) 07:58:12.80 ID:fX5a1w8N0
赤みがかった茶髪のボブヘアとブラウスの袖から覗くごついブレスレット、そして吊り上がり気味の勝気さが満ちた瞳――まだ修学旅行の行きしなだというのに既に土産物のまんじゅうの箱を手に取っていた朝比奈紗羅(女子一番)だ。
身長は150cmにも満たない小柄な体格だが、その身の軽さもあってか新体操部のエースの座に君臨する、ややきつい性格をしているが気軽に話せる女の子だ。
「迅と優人がバス酔いしたから、食えそうなモン探しに来たんだよ。
そっちこそ、土産はまだ早いっしょー」
「いーのぉ。
せっかくだから、普段食べないこういうのみんなでバスで食べようってなったの」
卓也のツッコミに対したのは、猫っ毛の短めの髪の一部を赤いの飾りのついた髪留めで留めた髪型が愛らしい、いつも眠たそうにしている鳴神もみじ(女子十二番)。
「だからって甘ったるいのばっか食えねぇよ、もっと小さい箱にしろよな!」
もみじが手にしていた大きな箱を後ろから取り上げたのは木戸健太(男子六番)。
男子の中で最も小さいが熱気が身体から噴き出さんばかりの熱血家で努力家の少年漫画の主人公になれるタイプの性格で、卓也とはテニス部でダブルスを組んでいる仲の良い相棒だ。
紗羅ともみじと健太は幼馴染トリオで全員が中等部から帝東学院に入学して非常に仲が良いので、3人をまとめて“庶民トリオ”と陰で呼ぶ者もいる。
小柄な3人がじゃれあう姿は、小動物を見ているようで微笑ましい。
「バス酔いって大丈夫なの?
あ、飴とか舐めたらいいって聞いたことあるんだけど…どうかしら、瑠衣斗くん」
「あ、確か相葉も日比野も席が後ろの方だったね。
前の方が揺れがマシらしいから、席替ってもらえば?
望月たちから離れて、静かに寝てしまうのが1番じゃない?」
それぞれ手に地域限定のお菓子を持った上野原咲良(女子二番)と真壁瑠衣斗(男子十六番)が、バス酔い対策を話し合ってくれていた。
咲良は類い稀なる愛らしい容姿と誰にでも優しい性格で異性人気が非常に高い帝東学院のマドンナ的存在だ。
ここに入る前にちらっと姿が見えた時には、同じサービスエリアに居合わせた他の学校の修学旅行生に声を掛けられていたが、咲良の隣にいた強面で大柄の池ノ坊奨(男子四番)にじろっと一瞥されて彼らはそそくさと逃げて行ってしまっていた。
まるで奨は咲良のボディーガードのようだった(実際は幼馴染らしいのだが)。
本当なら恋人の健太が護ってやるべきだと思うのだが、小さな健太が睨みをきかせてもあまり効果はなかったようだ、お気の毒に。
瑠衣斗は学年一の天才児で、あらゆる試験で常に学年トップの座をキープしている。
表情を表に出さないことが多いのだが、何故か卓也を見る目つきは他の者を見る時とは違い嫌悪感が滲み出ている。
その理由は卓也には見当もつかないので、対処のしようがない。
「あれ、咲良ちゃん…お宅のキングは?」
卓也の問いに、隣にいた英隆がぷっと噴き出した。
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