278:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/30(月) 09:51:42.52 ID:aFMIt3ru0
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二回目の放送を聞き、禁止エリアを書き込んだ渡辺弘(男子20番)はちらりと隣に座っている若村朋美(女子20番)を顔を見た。
朋美はもう泣いていなかったが、ずっと暗い表情のままだった。
まあ、無理もないよな……。
友達を失ったんだからな……。
「ねえ、弘……」
ずっと黙っていた朋美が口を開けた。
「私ってさ、生き残る価値あるのかな?」
「あるに決まってるだろ、だってお前はーーー」
途端、外から銃声が聞こえた。
音の大きさからして、すぐ近くだ。
「……朋美、離れよう」
「うん……」
二人は手を握り、外に出た。
周囲に人は見えない。
もう何処か行ってしまったのか。
そう思ったときーーー。
「こんにちは」
何処からか声がした。
瞬間、風を切る音と同時に、朋美の腹部に銀色の矢が突き刺さった。
「ぁ……」
小さな声と同時に、朋美が倒れた。
「朋美!」
弘は咄嗟に朋美を抱き起こす。
腹部から血がゆるゆると流れ、朋美のシャツを血の色に染めた。
「朋美!くそ!誰だ!!」
「私だよ」
近くの茂みから柳瀬美蘭(女子18番)が姿を現した。
「柳瀬……お前……どうして」
「復讐」
ボウガンを二人に構えた。
「みんな、苦しみながら[ピーーー]ばいいのよ」
「っ……俺は……こんなところで死なない……朋美も、絶対に死なせない!」
弘はデイパックからスタームルガーを取り出し、美蘭に向けた。
美蘭は一瞬だけ、顔を強張らせたが、また、いつもの表情になった。
「……撃てるの?」
「ああ、勿論さ」
美蘭の頭に狙いを定める。
しかし、引き金を引くことは出来なかった。
「だめ……だ、よ……弘……人殺しに、なら、ない……で……」
朋美が弘の袖を引っ張った。
「朋美……でも」
「嫌なの……弘が……人を[ピーーー]、な、んて……」
「お喋りしてる暇はあるの?」
矢が発射され、朋美の右腕に矢が突き刺さった。
「あうっ!」
「朋美!!」
もう迷ってる暇はない。
弘はスタームルガーの引き金を引いた。
しかし、銃弾は大分逸れ、美蘭には当たらなかった。
「……貴方も苦しませながら逝かせようと思っていたけれど……それを持ってるなら話は別ね」
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