過去ログ - 穂乃果「酒は飲んでも呑まれるな」
↓ 1- 覧 板 20
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga]
2014/04/17(木) 01:07:14.45 ID:uAFQHBLh0
海未は自らの未熟を呪った。できる限り苦しまず逝かせてあげたかった。
だが花陽の首を跳ねることはできなかった。彼女は失血するか窒息するまで地獄のような苦しみを味わうのだ。
しかしながらそんなことを悔いている暇はない。次は海未自身の番だからだ。
海未はブレザーを脱ぎ、ブラウスのボタンを外した。
鍛えてはいるが、所詮女の腹筋だ。貫けないことはないだろう。
歯を食い縛って、小刀を自らに向けた。
本当は目を閉じたかったが、手元が狂ってはいけない。
この恐怖こそが自らに与えられた罰なのだと、海未は思った。
(全て終われば……あちらで、またみんなと会えるのですから)
思い浮かぶのは仲間達の顔。一年生、三年生、そして幼馴染の二人。
海未は意を決し、勢いよく小刀を腹に突き立てた。
いや、突き立てようとした。
「そんな……どうして!」
小刀は鈍痛こそ残したものの皮膚を破ることはなかった。
何度突き立てようとしても、腹に穴が開くことは無い。
結局私のような意志の弱い者では、自決などできなかったのだ。
「これでは……花陽に、顔向けできないではありませんか」
所詮、頼りになる先輩の振りをしていただけに過ぎないのだ。
彼女にまやかしの安らぎを与えたにすぎないのだ。
「私は……私は、最低です……うぅッ!」
海未は、声を押し殺して泣いた。
57Res/38.72 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。