20: ◆MU56p3v17.[saga]
2014/04/20(日) 23:49:11.40 ID:DTaWFwn20
怪我をしたロマリーを担ぎながら、アセムはバルガスに先導されて馬小屋の地下にある整備場に足を踏み入れた。
アセム「馬小屋の地下に、モビルスーツの整備スペースがあるなんて……!」
そこでアセムは、メンテナンスベッドに横たわる一機のモビルスーツを見た。
アセム「バルガス、これってまさか……」
自分は、このモビルスーツを知っている――。
蒼い装甲を持ち、数多の敵を殲滅せしめた禁断の兵器。
父が精魂込めて設計し、母と曾祖父が欠かさずメンテナンスをした、アスノ家の誇りとも言うべき機体。
バルガス「そうじゃ。フリットが作り出した最強のモビルスーツ、“ブルーディスティニー”じゃ」
アセム「父さんのモビルスーツが、どうしてこんな所に?」
フリット「フリットの奴が隠しておいたのじゃ。このコロニーを守るためにな」
ふと、今置かれている状況でどうして自分がここにいるのか、アセムは考えた。
アセム「これで……戦えっていうの?」
バルガス「……それは、お前が決めることじゃ」
ポケットからEXAMデバイスを取り出し、見つめる。
アセム「(……俺も、父さんのように……?)」
自分や、自分の大切な人を守るために、父がこのEXAMデバイスを託してくれたのだとしたら――。
今、自分の成すべきことは一つしかない。
アセム「……わかった。やるよ、バルガス。ブルーディスティニーには、俺が乗る!」
バルガス「……よく言った、アセム。」
怪我をしたロマリーをバルガスに預け、蒼いモビルスーツへと歩き出す。
また一人の少年が、壮絶な運命への扉を開こうとしていた。
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