220: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/29(火) 17:15:29.04 ID:5HLYTs2y0
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「抜かなかったな。偉いぞ」
「うん! だってこんなところで出したら大変なことになっちゃうもん!」
「でも、友達は大事にしなきゃだぞ?」
「わかってるよ、もう。お兄ちゃんは過保護なんだから」
肘で脇腹を軽くつついてみる。全く、本当に過保護。
……でも、まぁ、そういうところが好きなんだけどさ。
だってわたしのことを愛してくれてるってことだもんね。
朝からお兄ちゃんとデート。ちょっと眠たかったけど、会った瞬間に眠気なんて吹き飛んじゃった。
あぁ、一週間ってなんでこんなに長いんだろう。
「今日はどこに行くんだ?」
お兄ちゃんが聞いてくる。私はごそごそと鞄から今日の行程表を取り出す。折角のお兄ちゃんとのデートなのだ、選んだり迷ったり、そんな時間は一秒だって惜しい。
「これから映画見に行って、それが二時間くらいだから、終わったらちょうどごはんの時間だね。近くのレストランを予約してあるよ。そのあとはこのあたりぶらぶら散策して、私は本屋に寄りたいかなって」
「俺もちょうど本屋には行きたかった」
「うん、お兄ちゃんそう言ってたなって思って。それで――」
「あら、会長じゃない」
はぁい、と手を挙げて雌豚がやってきた。酷く不快な顔をしている。私のお兄ちゃんにその顔とその声で
「話すな、ゴミが」
ゴミにしてあげようかな?
「落ち着け。学校の、生徒会のやつだ」
「……はぁい」
そりゃぶぅたれもする。
「妹さんと本当に仲がいいのね」
「……俺、お前に妹のこと言ってたか?」
「……あら、聞いてなかったかしら?」
首を傾げる二人。なんだかそのしぐさが妙に腹立たしかったので、私はお兄ちゃんの手を引っ掴んで、そこから足早に離れた。
まったく、こんないい日だってのに、泥棒猫ったら!
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