25: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:30:26.99 ID:iWvh8kZB0
黒マントは呵呵大笑として、そのオッドアイで私を見ました。
黒マント「うひゃひゃひゃ! 俗人としてはよく堪えた方よ! が、しかぁし。我の『黒光纏いて優雅に踊れ』の前では、何人たりとも逃げることは叶わん。無駄無駄無駄ァ!」
明らかに常人離れした風貌と口調の黒マントは悠々と私に近づいてきました。私を能力者だと気付いているのか、いないのか……それが生死を分ける境目でしたが、今の言葉を聞いている限り、気づいていないようです。
これは好都合。というか、これが千載一遇のチャンスです。
ざく、と砂を踏みしめる音が聞こえました。眼球だけを動かしてそちらを見れば、女生徒が一人、短く悲鳴を上げて後ずさっています。
見たな、と黒マントは小さく呟きました。
少女「逃げ――!」
私の言葉より早く、椅子が彼女の頭にクリーンヒット。そのまま昏倒し、ピクリともしません。
黒マント「『黒光纏いて優雅に踊れ』」
光が椅子と机を包んで、そのまま、落下。
金属と金属がぶつかる音にまぎれて、とても鈍い、いやな音が聞こえました。
じわりじわりと血だまりが広がっていきます。
そして、山となった椅子と机の向こうに、揚々と登校してきた生徒が何十人といました。
そこから先は地獄絵図。机が乱舞し、椅子が血に染まる、この世のものとは思えない光景が広がります。逃げ切れる生徒は誰もいません。いたとしても、椅子に飛び乗った黒マントが、猛追するのですから。
黒マント「うっひゃひゃひゃひゃ! 笑いが止まんないわ! 全員、全員、死んじゃえばいいんだ、そうだ、私を馬鹿にしやがって、どいつもこいつも、くそどもがっ!」
いわゆる「普通の」口調で黒マントは狂ったように罵声を浴びせかけます。
そうして一息ついたのでしょうか。彼女は大きく息を吸って、吐いて、すっかり静まり返った光景に背を向けて、私に直ります。
黒マント「安心するがよい。貴様もすぐに、友人のところへと送ってやろうぞ」
少女「言いましたね?」
口の端が吊り上るのがわかります。
少女「――有言実行、しましょうか」
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