4: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:05:57.25 ID:iWvh8kZB0
――――――――――――――――――――――
そろそろ日付が変わる。全く、ただ黙って他人の仕事を見てるだけというのも、案外疲れるものです。それにこんなに遅くなってしまった。
勿論私が手伝えばあと一時間は早く終わったのでしょうけど、有言実行は守らなければいけません。第二書庫の整理は「先輩が」やるのであって、「私が」やってはいけないのです。そこは超えてはならない責任の一線ですから。
「いやぁ、きみ、凄いねぇ」
足元から声が聞こえて、思わず私はそこへと視線を向けました。
……ぬいぐるみが落ちてます。
白くて柔らかくてもこもこの、猫と兎を足してメレンゲを流し込んだ感じの、摩訶不思議なぬいぐるみ。それが私を見ながら喋っているのです。
珍しくもありません。最近は喋るぬいぐるみもたくさんあります。誰かが落としたのでしょうか。
「ちょっと、無視しないでよ!」
慌てて喋るぬいぐるみ。妙に精巧ですね。
と、そのぬいぐるみが急に浮かんで、私の目の高さまでふわっとやってきました。
なに、これは、どっきり?
「話聞いてよ。大事な話があるんだ」
ぬいぐるみは、アニメのキャラクターみたいな声でそう言いました。
少女「……」
とりあえず引っ掴んで、カバンに押し込みます。もがもが言っているのを見て見ぬふりして、知らんぷりをして、そのまま私は帰路を走りました。全速力。
もし家に帰ってもあのぬいぐるみがいて、喋るのであれば、これは現実です。ぬいぐるみが喋らないのであれば、耳鼻科に行きましょう。ぬいぐるみがそもそもなければ、精神科です。
235Res/273.82 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。