過去ログ - 透華「めざせFカップ、と」咲「うわぁ……」どん引き
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2014/04/20(日) 02:14:08.15 ID:NzBaV6MG0


【透華の部屋】


咲「本当に大丈夫なんですけど」

咲「自分でできます」


真剣な眼差しで絆創膏を貼る透華。


咲(大げさだなぁ)

でも、このくらいのケガで本気で心配してくれる透華に少し好感を抱く。

透華さん、いい人だなぁ。

透華の姿を眺めていると、ふと、なぜか懐かしさを覚えた。


咲(絆創膏を誰かに貼ってもらうのって、いつぶりだろう?)


昔は今よりもよく、膝を擦りむいたっけ。そのたびに、お姉ちゃんに絆創膏を貼ってもらって――

毎回、「大丈夫。これでもう痛くないでしょ? 咲」って言ってもらったら、本当に痛くなくなっていた。

お姉ちゃんに絆創膏を貼ってもらうのが好きだった。そのためだけに、絆創膏をもって、わざわざお姉ちゃんの部屋まで行ったこともあった。

今となってはそれも、昔の話だけれど――




……………………お姉ちゃん――――





ああ、まずい。これはまずい。

涙が汲み上がってくるのを感じる。

耐えないと。

高校生にもなって、膝を擦りむいたぐらいで泣いている、と透華に思われるのは恥ずかしい。

なにより、涙をこぼしたら最後、自分の意思では止められないことを私はよく分かっていた。

懸命に涙を止めようとしていると、透華が咲の隣に腰を下ろした。

透華の髪の匂いが、一瞬鼻をかすめ、消えていく。そして、透華の手が咲の頭に置かれたのを感じた。


穏やかな、なだめるような、どこまでも寛容な声で、


「大丈夫。痛いのをよく耐えました。えらいですわ、咲」



一瞬、息が詰まった。それをきっかけに涙がこぼれた。

「違うんです。痛いんじゃなくて、これは――」そう透華に伝えたかったが、まるで、喉の奥の肉が盛り上がったかのように声帯をつぶして、声が出なかった。

透華は、黙って咲の頭をなでつづける。

部屋は咲の嗚咽の音だけが響いた。

名前を持たない感情が咲の心をじわじわと浸食していく。

だが、それを感じ取る余裕を今の咲は持っていなかった。







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