過去ログ - もし現代に艦娘が舞い降りたら。side:加賀
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2:トラック提督
2014/04/21(月) 22:45:39.08 ID:g4E+iSMb0
目が覚めるともうすでに下車駅のすぐ手前であった。薄暗く人が少ないからか冷房が効きすぎた車内に響く私鉄車掌独特の放送は目的地である駅を案内している。膝の上のパソコンを閉じ、降りる支度を整え、ドアの前まで移動する。トンネルを抜けるとすぐに駅だ。

神奈川県横須賀市、横須賀鎮守府。

明治17年に横浜東海鎮守府が横須賀に移転されて以来、昭和20年の太平洋戦争終戦時までの約60年間、大日本帝国海軍の中枢軍港であり、終戦後もその場所には在日米海軍が基地を構え、周辺には海上自衛隊の施設もあった。

「あっついなー」

電車のドアが開くと日本とは到底思えないような熱気に襲われ、全身から汗が滲み出てきた。思わずネクタイを緩める。
発車ベルが鳴り終わりドアが閉まると、赤い電車はホームに俺だけを残し、滑るようにまたトンネルへと消えていった。雲ひとつ無い快晴の空から燦々と太陽が照りつけ、俺は逃げるように出口へと向かう。
改札を抜け、駅前ロータリーにはまばらに人がいる程度でいつになく活気が無い。駅前のコンビニでスポーツドリンクと新聞、あとチョコ菓子を買う。ここいら周辺じゃ営業している商業施設と言えばここくらいで、俺がここに配属されてからは随分とお世話になっていた。店員と軽く会釈を交わし、店を出る。嫌に甘いスポドリを口に含み閉鎖された駅前の大型商業施設の脇へと歩みを進める。普段、徒歩5分とかからないのにその5分がまるで致命傷になりかねないようなくらいに日差しが強い。商業施設の脇は大層な大通りなのに車は一台も通らなく、ただただ逃げ水を映すだけだ。

(たった数年でここまで変わるものなのか)

誰もいない、街だった場所を歩きながら、そんな事を思った。

変化。

そして、こうも思う。
この数年で一番大きく変わったもの。
それは世界情勢でもなければ時の政権でも、この寂れた横須賀の街でもない。




俺自身であった。





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