過去ログ - もし現代に艦娘が舞い降りたら。side:加賀
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25:トラック提督
2014/04/22(火) 23:13:42.28 ID:jHuVnAp60

扉を開けるとそこには大きな部屋があった。高校の教室くらいの大きさで、白い壁には星条旗と間接照明が幾つか付いており、床はよく会議室で見るような灰色をしたタイル状のカーペットだ。窓が無いからか、少し圧迫感を感じる。そして部屋の奥にはベッドと本棚にテレビ。隅には観葉植物など、まるで病室のような感じだ。その部屋の中央には大きな白いソファが対面に並ぶように2つ置いてあり、その1つに日本人の女性が本を読みながら座っていた。

「どうぞ、中へ」

マミヤさんに促され、おずおずと部屋に踏み入る。ソファの上の女性はこちらに気づいたのか、本を閉じ視線を俺に移してきた。よく見るとかなり若い女性だった。顔立ちはとても整っていてかなりの美人と言えよう。赤墨色の髪を片側で結わいており、白い上衣に青い袴の身なり、胸当てから察するにおそらく弓道着の装いに見える。だが袴がいやに短く、袴というよりはどちらかと言うとスカートのようだ。そして腰のあたりにはカタカナの「カ」と書かれた見慣れない防具のようなものをつけていた。

「え、えーと。」

完全にたじろぐ俺。どういう反応を示せばいいのかがさっぱりわからないし、さっきの未知なる敵と彼女が一向に結びつかない。

「掛けていいかな?」

彼女の対面のソファをマミヤさんは指差す。

「……。」

小さく頷いた。

「失礼するよ。……アマギさんもどうぞこちらにお掛けください。」

そう言われ、俺はマミヤさんの隣に座った。彼女の真正面である。

「……。」

彼女にじっと見られる。年端もいかない子なはずなのにとてつもない威圧感がある。

「えー、この方は、日本の外務省から来られたアマギさんです。」

マミヤさんが俺のことを軽く紹介する。外務省……。基地に入る前にマミヤさんと交わした言葉を思い出す。

(話を合わせろって事か)

「どうも、えと、外務省の……えー、りょ、領事局のアマギと申します。」

なぜ所属を偽る必要があるのか、多々疑問に思うが今まで聞かされた事のインパクトが強すぎてそこまで気にならない。ここは相手に合わせる方がいいと思い咄嗟に思いついたことを口走った。外務省には確かそんな部署があったような気がする。上半身だけで軽くお辞儀をしながら相手の反応を待った。少し間が開く。ほんの少しだけ。

彼女はじっと観察するように俺を凝視しながら、静かな声でポツリと言った。



「……加賀です。」






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