296:すっかり酉忘れてた ◆gYPTtXHuRDVF[saga]
2015/03/09(月) 22:06:43.29 ID:ANj3QeLDO
ショッピングモールの外に向く窓に陣取って、ひとりじゃ食べない小洒落た昼食。
ブラインドの隙間からなお漏れる熱気と陽光が、後輩の首筋に光を作った。
後輩「男は、何度も来てるの。ここ」
男「いや? パン屋があったって事は知ってたけど、入ったのは初めてだ」
後輩「ふーん……むぐ……」
後輩「……♪」ニマァ
男「なるほど、それ美味いんだな」
後輩「見んな、バカ。自分の食いなさいよ」
オレンジピールが大きく入ったケーキを、チマチマと千切り、食べている。チョコ味の生地と合わせて美味しそうだった。
やや大きく敷かれたクロスの上に、少し寂しすぎる気もしたが。
男「そういえばさ、俺と女が身バレしそうになったのってパン屋がキッカケだったんだよ」
後輩「ここ?」
男「いや、駅前のフジヤマベーカリーってところでさ。ハーパルで話してたら自然に会話が噛み合っちゃって、あれっ? みたいな」
後輩「……。ふーん」
今のは、なんとなくわかった。
この話題は、シャキッとしたレタスの噛み切られる音に遮ってもらおう。
男「もっしゃ、もっしゃ、もっしゃ」
後輩「もむもむ……」
感情表現には乏しいけど、後輩って意外に感情豊かなのかもしれない。
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