過去ログ - モバP「見えた今に絶えぬ未来を」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/22(火) 23:11:09.97 ID:dbLyof+Po
「頑張ろうと思って、少し練習したくなって……それで疲れてしまって、つい」
こちらから声をかけようかと思っていたある時、翠が迷っていた口を開いた。
なるほど、理由としては納得できる。
着替えること無く寝たという点、不適切に乾いた髪が変な癖になっている点を考慮すれば嘘だとは言えない。
「限界を決めつけない姿勢は悪くないが、やりすぎだ」
しかし、問題は何故その状態までやり続けていたのかという事だ。
己をセーブしすぎて実力を伸ばさない人は論外とはいっても、止めどころを見誤って取り返しのつかない状態になってしまう人は少なからず存在する。
翠は今のところ至って健康だし、多少無茶をしたとしても元気ではいられそうだが、それにしたって状況の不自然さが解消されたわけではない。
「すみません……我を忘れて」
ひねり出したような笑みを浮かべて翠が首を小さく傾げた。
その言葉に、燻っていた疑問がまことしやかに加熱していく。
何故それで触発されたかといえば、彼女に限ってそれはありえないからだ。
別にこれといった確証がある訳ではないが、彼女との日々を顧みればそれが嘘であることぐらい容易に想像できる。
彼女は甚く冷静だ。それこそ、涙を流してもおかしくない悔しい出来事を目にしても尚涙を流さない程度には。
千秋のような徹底して客観的な視点で見ようとするものとは全く違う、別の視点を持っているからだ。
平然を装い、その奥で何か冷たいものが渦巻いているような――。
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