過去ログ - モバP「見えた今に絶えぬ未来を」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/22(火) 22:50:03.27 ID:dbLyof+Po
「気にしないでください、Pさん。残念ですけど、それはPさんのではなく私の力不足ですから」
翠はそう続け、困ったように首を傾げて笑った。
「それでも謝らなくちゃいけない。口ではどうとでも言えるが、実現できなかったのは俺の責任だから」
トップアイドルにする。
彼女をアイドルの世界へ誘う時、俺ははっきりとそう言った。
無論、彼女にとってしてみれば軽い冗談のように聞いていたのかもしれない。
まかり間違っても類まれな才能を持たない人がトップアイドルに輝くなんて夢物語はそうそう現実になる訳ではないし、一撃で魅了するような強烈な個性を持っていない翠がそこに到達することは並大抵の事ではない事ぐらい、彼女はきっと理解している。
「世の中に明るく無い私でも、それが難しいことぐらいわかります。だから結果は結果、次頑張れるように、前に進みましょう」
一番いいのは俺が翠の個性を十二分に発揮させてアピールすることなのだが、それが簡単に行かない以上、彼女はそれを理解して日夜レッスンに励んでいる。
だからなのだろうか。
彼女にとって、トップアイドルという夢は夢物語としてみているのだろうか。
総選挙という戦いの舞台を、彼女は客席から眺めているのだろうか。
あっけらかんとした表情で意気込む翠の表情を見ていつもの翠だな、と感心すると同時に、少し薄暗い雲が眼前を覆い始めていた。
「……そうか、頑張ろうな」
「はい」
はきはきとした声色で翠は俺の言葉に返事をした。
暗澹たるその雲の正体を見出さぬまま晴らさぬまま、そして言いたいことも言えないまま、ただ頷いて会話を終わらせてしまうのだった。
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