過去ログ - 阿良々木暦「たかねデイフライ」
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/23(水) 18:39:25.52 ID:KjY5e/6Q0

「チャレンジャーだね春香……」

「え!? そんな大事なの!?」

天海に一口サイズのフランスパンが刺さった竹串を渡す。
天海はまさか振られるとは思っていなかったのか、少々戸惑った後によし、と小さく気合を入れる。
液状のチョコレートの中にパンを投入。
くるくると満遍なくチョコレートをコーティングし、チョコが垂れないように整える。

「で、では……」

ごくり、と天海が生唾を飲み込む音が聞こえる。
今の天海には、僕と菊池の様子から緊張と不安が渦巻いているのだろう。

呼吸も荒く、竹串の先端を四条に向け、遠慮がちに呟く。

「貴音さん、あ、あーん……」

動悸の速度が速まる。
毛穴から汗が滲むのを実感する。
こうやって外から見ているだけでもうこんな調子なのだ。
当の本人である天海の心中は果たして如何ほどのものなのかは想像に難くない。

「あ、あぁん……」

四条が目を閉じて口を開ける。

「――――っ!?」

同時に、天海の動揺が僕らにも伝わった。

そう、そこに在るのは、顔を赤らめてあたかも接吻か、それとももっと卑猥な何かを欲しているのかと錯覚させるような、無防備な端麗の美女の姿だった。

瑞々しい唇、小さく、それでいて綺麗に生え揃った並びの良い歯、熟れた果物を連想させる堕落の象徴とも形容できる舌。
こんなものを見せられて正気で居られる程に人類の理性は進化していない筈なのだ。
そう、例えそれが同性相手であったとしても、人間は真に美しいものの前では言葉を失う。



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