過去ログ - 阿良々木暦「たかねデイフライ」
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18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/23(水) 18:41:27.36 ID:KjY5e/6Q0

「あ、あ、あわ――」

「春香……はやく、はやくくださいまし……」

「ひっ……!」

とろんとした眼で四条が哀願する。
四条は先述した通り深窓の令嬢なんて言葉が似合いそうな外見だが、その実は結構なお茶目な性格をしている。
わざとやっているのかどうか判断がつき難いが、食事に執着している様は間違いなく素だ。

天海は動揺のあまり言語中枢に異常を来たしたのか、まともに返答することも出来ず、顔をこれ以上ない程に赤くして震える手で四条の口内にパンを入れる。
そう、かつて火憐ちゃんの歯を磨いてあげた時と似ている。
無防備に口を開ける女性というのはひどく扇情的なのだ。
そんな事を考えている時点でプロデューサー失格なのかも知れないが、そこは僕も若い男なのだから許して欲しい。
むしろ神原のエロ精神に則って、何も思わない方が失礼というものだ。
四条は歩けば誰もが振り向くほどの美人な訳だし。

「ん――」

ゆっくりと咀嚼し、こくりと嚥下をこなす四条の一連の動作には芸術性すら感じた。
天海の作ってくれたフォンデュに満足したのか、四条はたおやかな笑顔を浮かべる。

「たいへん美味しゅうございました、春香」

「はぁ……っ、は ……っ」

息も絶え絶えに膝をつく天海。
僕の心身的負担を理解してもらえたようだ。

天海はお粗末さまでした、とすごすごと引き下がると、僕の元まで来て頭を下げる。

「ごめんなさいプロデューサーさん、私が愚かでした」

「ああ、気にするな。あの四条には誰にも勝てん」

「しかし、こう甘いものばかりですとらぁめんが欲しくなってきますね」

「無茶言うな」

汁物系を食べさせるのってかなりの難易度な気がする。
調べた資料が確かならば、今日明日と四条の食事周りをしなければならないという、嬉しい悲鳴――と表現したいところだが実際は本物の悲鳴に近い苦行を任されながらも、事の起こりを思考の隅で回顧するのであった。



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