35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/23(水) 19:42:17.35 ID:KjY5e/6Q0
僕は一息つくと扉を開ける。
例えるのならば、煮こごった澱の中に身を沈める感覚。
先に這入ったひたぎは果たしてまだそこにいた。
全方位からの襲撃に備えているのか、部 屋の中をうろつくように歩き回っている。
「……暦」
やはり不安はあったのだろう。
一瞬、安堵の表情を浮かべるひたぎの背後、何もない空間から、腕が伸びるのが見える。
「ひたぎ!!」
今思えば、ひたぎが捕まる瞬間に心渡で斬るのが正しい対処だった――と言うよりは、ひたぎもそのつもりで囮になったのだろうけど、思わずひたぎを突き飛ばしてしまった。
四条の手に抱きとめられるように捕まる。
「暦!」
ぞぶり、といった空気を抉る音と共に引き込まれる。
四条に連れて行かれた先は、何もない暗闇だけの空間だった。
どこか息苦しく、空気自体に粘度があるようにべたついている。
ここが『巣』という訳か。
仰向けに倒れた僕に覆い被さるように、四条が身を寄せて来る。
傍から見たら四条が僕を押し倒している としか見えないだろう。
実際、ちょっとドキドキする。
うん、赤髪の四条も悪くないな……妖し気な雰囲気が倍増されていて。
「御覚悟を、あなた様」
「何の覚悟だ?」
「わたくしに、食されて下さいまし」
妖艶な笑みを浮かべて舌を出す四条は、僕に口付けをせんと目を閉じて唇を近付けて来る。
マジか。経口エナジードレインなの!?
やばい、ちょっとドレインされてもいいかも、なんて思っちゃってる僕。
しかも同じ方法で我那覇と星井からエナドレったとしたら……。
「――――うむ」
まずいな、想像するだけで鼻血が出そうだ。っていうか出た。
ひびたか!!
みきたか!!
わっほい!!
いかんいかん、正気を失っている場合ではない。
落ち着けよ僕。
53Res/51.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。