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2014/04/26(土) 01:49:49.31 ID:6dIc+vFA0
「おなかすいたーん」
彼女の声が送迎用の車内に響く。時刻は午後十一時、仕事終わりである。
「お疲れ様、どっか寄ってくか?」
彼女の仕事は上々の仕上がりだった。監督、カメラマンから次の機会を与えてもらえるくらいに。仕事の内容は少年誌のグラビア撮影。彼女の白い肌に黒い水着がよく映えていた。その姿はまるで雪のように美しく、触れれば融けてしまいそうで―――。
「ファミレスがいいなー?だめー?」
撮影現場の光景を思い出している最中、彼女の声がかかる。
「ん、了解。外食もいいけどたまには料理もしろよ?」
「将来のためにもねー。」
そういって目を細める。今日の撮影では見られなかった表情だ。
「今日はたくさん褒められちゃった。真っ白で綺麗だねーって。」
「ん?ああ、そうだな。」
一瞬どきりとして、思わず素っ気なく応じてしまう。
「ふふーん!しゅーこちゃんはかわいいので!」
「幸子が拗ねるぞ。」
同僚の物真似をする彼女。どうやらあまり似せる気はないようだ。
「拗ねたらPさんが慰めてあげるんでしょ?」
「誰がするか」
にやにやと笑う彼女に、軽口で答える。
「あ、Pさんあそこ!ファミレスはっけーん!」
彼女が指差すその先に、明かりのついた看板が立っていた。
「あそこでいいか?変装の準備しとけよ。」
「はーい」
そういって後部座席にある鞄を漁る彼女。
その後ろ姿に覗く白く美しいうなじに思わず息をのむ。ハンドルを回し、駐車場に車を止める。先に入っとくぞ、と声をかけ、車外に出る。高鳴る鼓動を悟られぬように。
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