4: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/01(木) 00:50:42.94 ID:r7ry1KnL0
こうして連れ立って歩くことさえ何年ぶりだというのか。
思い出そうとして天を仰ぐと太陽が瞳を刺した。
反射的に視線を下げると、ちかちかする視界の向こう側に、寂れた風景が広がっていた。
東京に出て以来初めて、照はこの場所にやってきた。
世間一般の風習からするともう二週間ばかり早く訪れるべきではあったのだが、それに関してはどうしようもなかった。
なにしろ「その日」は毎年のように、麻雀の全国大会と日程が重なってしまっているのだ。
全国屈指の強豪校のエースとして、三年連続でインハイ出場を果たしている照には、どうしようもないことだった。
その上今年の「その日」は、団体の決勝戦と見事にかち合ってしまっていた。
その点に関しては、今自分の斜め後ろを歩いている彼女とて同じことだろう、と照は振り返って水を向けた。
「今年は、来れなかったの?」
「あ、うん。ほら、インハイがあったから……って、おねえちゃんだって知ってるでしょ、もう」
97Res/59.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。