67: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:19:31.14 ID:8PkTflhk0
「あの日のことを、今でも私は後悔し続けてる。きっとこれからも、一生後悔し続ける」
ほんの少し勇気を出していれば、それでなにかが変わっていたかもしれなかった。
68: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:21:32.85 ID:8PkTflhk0
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
火災のあった夜から照は、悪夢を見るようになった。
69: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:24:52.51 ID:8PkTflhk0
照はインターミドルなどの主要な麻雀大会には積極的に参加してこなかったが、それでも雀士として、知る人ぞ知るという程度の知名度はあった。
その関係で東京の高校から、特待生として誘われたことがあった。
当時は照自身、長野を離れる気があまりなかったので、返事を曖昧にしたまま保留していた。
そこに母は目を留めた。
70: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:28:02.32 ID:aMBIpV6C0
だが、それにあたって問題がないわけではないようだった。
『養子って……ああいう縁組には普通、当事者の同意が要るでしょう? でも、今の咲には』
71: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:29:44.97 ID:aMBIpV6C0
ただ、この時ばかりは事情が違った。
咲の事情は、照とは真逆だったのだ。
一酸化炭素中毒の後遺症と、防衛機制による記憶のねつ造。
72: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:32:18.28 ID:9Zwv11hu0
徐々に白熱していく両親の言い争いに、照は口を差し挟めなかった。
自分を巡っての諍いであるという気まずさもあったし、それ以上に、そんな両親の姿を初めて見た、というのもあった。
この二人の夫婦喧嘩はいつも、気の強い母の方が優勢だった。
73: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:34:42.79 ID:9Zwv11hu0
後から考えてみれば、両親も平静ではいられなかったのだろう。
なにしろ実の娘に加えて、家族ぐるみの付き合いだった親族を失っているのだ。
とりわけ母の悲嘆はいかばかりだったろう。
74: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:37:03.51 ID:9Zwv11hu0
どちらが悪い、どちらが正しい、という話ではなかったのだと思う。
母は、心に癒し難い傷を負った娘を守るため、親として正しい選択をした。
75: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:39:51.11 ID:HrpHsTfl0
あるいは咲は二人の決別に際して、ただ自分にのみ責がある、と思いこんだのかもしれなかった。
そういう誤解をしている可能性もあったが、当時の照はこれにも気が付くことができなかった。
76: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/03(土) 20:42:33.49 ID:fosuSXCS0
誰もゲスいことにならない(と思われる)ルートを模索したら、こんな妄想ができあがりました
全員がゲスになるルートもありえると思います
ご一読ありがとうございました
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