7: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/01(木) 00:55:23.22 ID:r7ry1KnL0
そうこうするうちに二人は、最初の目的地に辿りついた。
「――」
照はその前でしばし、立ち尽くさずにはいられなかった。
咲が遠慮がちに声をかけてくる。
「おねえちゃん……」
「……いつか、言ったよね、咲。私が、東京に行くちょっと前のことだったかな」
「え?」
「森林限界の上に咲く花のように、強く――って」
小さく、息を飲む音がした。
「私も、強くならなきゃいけない。強くあるべきだった。咲に、あんな偉そうな口を利いたからには」
つまるところ、自分もまた逃げていただけだったのだ。
照はそう自嘲した。
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