9: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/01(木) 00:59:22.46 ID:r7ry1KnL0
目的地に対して当然なされるべき「作業」をこなす間、今度は咲がじっと立ち尽くして、照の背中を見つめてきた。
気にしないふりをしながら、照は作業を黙々とこなしていく。
一段落ついたところで、パンと手を鳴らして目を瞑った。
そのままの姿勢で、祈った。
いや、祈りと呼べるほどのものでもなかった。
なにか、言葉にならない希求が喉から背中を突き抜けて、晩夏のへばりつくような熱風に融けていく。
背後で咲が、自分と同じ姿勢をとった気配がした。
そのままの姿勢で二人は、十分ほどそうして瞑目を続けた。
「それじゃあ、行こう?」
一つ息を吐いて振り返ると、そう声をかけた。
問いかけられた少女はきょとんとしていた。
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