過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」 2
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10: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 03:07:44.21 ID:wiguRyO8o

するとステイルは小さな笑みを浮かべた。

「逃さないよ」

「このヤロウ……」

「いい目だ。君とは共闘する機会も妙に増えたけど、やはりこういう関係が心地いいね。
 まぁ、本当はこの電車ごと吹き飛ばしても良かったんだけど、あまり大きな破壊は学園都市側もいい顔をしないからね。
 そもそもこの電車、どうやら耐火性の術式が施されてるみたいだし。土御門辺りかな。よくやるものだよ」

「……そっか、アイツはお前が来るかもしれないと思って…………俺の情報は、学園都市の上層部からお前に知らされたってところか?
 科学と魔術の関係がどうとか言ってるくせに、こういう時は協力すんだな」

「あぁ、そうだよ。彼女は、科学と魔術の関係がこじれるのを避けるために、この選択をした。
 それなら、僕がそれを壊すような事をするはずがないし、君をこのまま行かせるわけもない」

「あくまでインデックスのため、か」

「僕はいつだってそうやってきた。これからもね」

ゴォ!!! と、ステイルの手元から炎が吹き上がった。それは一瞬で剣を形作る。

逃げ道はない。つまり、覚悟を決めるしかない。
目の前の魔術師との戦いは避けられない。

いや、こんな状況でなくても、それは元々避けられないものだったのかもしれない。
この男、ステイル=マグヌスは必ず立ちはだかる。
上条当麻は、必ずこの男を倒さなければいけない。そう決まっていたような気がする。

『カミやん! おい、カミやん!!』

手元からそんな声が聞こえてきた。
そういえば、ケータイは土御門と繋がったままだった。

「悪い土御門、なんかこっからバトル展開みたいだから……」

『カミやん、そのまま電車に乗ってろ。どうやら、助っ人が来たみたいだぜい』

「えっ?」


ガコン! と、辺りが揺れた。


上条は反射的に再び近くの手すりに掴まり、ステイルはぐらりと体勢を崩した。
これは冷静に考えれば攻撃のチャンスなのかもしれないが、あまりに突然だったので上条自身も不意を突かれてしまった。

この揺れは身に覚えがあった。
というよりも、ほとんどの人間は経験したことのあるものだ。

電車が動く時の、慣性によるあの揺れ。

照明はついていなく、相変わらず明かりはステイルの炎の剣くらいだ。
それでも、窓から見える景色はどんどん後方へ流れていく。
ガタンガタンと、見る見る内にそのスピードを上げていく。

ステイルの舌打ちが車内に響いた。

「土御門か……? いや、いくらなんでもこんな短時間で……」

上条は、その言葉に答える事ができなかった。

視線は窓に釘付けになっている。
敵が近くにいるこの状況では、対応としてはかなり悪い。相手が相手だったら、命取りになるような事だ。

だが、上条は窓から目を離す事ができなかった。
正確には、その向こうの景色の、ある一点から。

もうそれは、目では捉えていない。
電車は動いているので、景色は次々と移っていく。
既にホームは抜けており、窓から見えるのは夜でも明るく輝く街並みと、空から舞い落ちてその光を反射している雪だけだった。

けれど、例え一瞬でも。確かに視界の中に、入ったものがあった。
角膜にこびりつくように消えない、あの姿があった。



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