2: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:37:39.18 ID:hkS1oNl2o
他愛のない会話をしながら空港の搭乗口へ向かう。
アメリカに行くのはこれで三回目くらいだけれど、飛行機に乗るというのはいつでも少し緊張してしまうものだ。
キャリーケースを転がしながら歩いて、そろそろ春香と居られる時間は終わりだ。
3: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:39:21.49 ID:hkS1oNl2o
千早「○○エアラインの592便よ。」
春香「じゃあ、飛ぶまで見送るね!」
千早「嬉しいわ。じゃあ、またね。」
4: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:40:00.87 ID:hkS1oNl2o
そう言いながら、私は春香の手をぎゅっと握る。春香も、握り返してくれた。
春香は、そのままにっこりと笑って。
春香「そうだよね。えへへ。行ってらっしゃい!」
5: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:40:35.49 ID:hkS1oNl2o
ビジネスクラスはそこそこ座り心地がいいので好きだ。これが水瀬さんだったら、ファーストクラス以外あり得ない、と言い張りそう。
私は水瀬さん程席にこだわりはない…と言いたい所だけれど、初めてアメリカに行ったときに乗ったエコノミークラスは乗り心地が良くなかったので、
それ以来ビジネスクラスを取るようになった。その内アメリカでも売れたら、ファーストクラスに乗ってみよう。
6: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:42:01.58 ID:hkS1oNl2o
暫くすると、雲を抜け、高度が安定したとの事で、シートベルトを外している乗客の姿がちらほらと見られる。
私は、備え付けのモニターで、映画を観る事にした。
音楽でも良いのだけれど、レコーディングに向かうのに音楽的イメージを崩されたくない。
7: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:42:27.40 ID:hkS1oNl2o
アメリカ的な映画を観ていると、がくん、といきなり飛行機が揺れ出す。
その後、映画が止まり、機内アナウンスが流れ出す。
『お客様にお知らせ致します。当機はエンジントラブルの為、グアム国際空港に緊急着陸致します。』
8: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:42:58.09 ID:hkS1oNl2o
がくん、がくん。
9: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:43:31.06 ID:hkS1oNl2o
飛行機が更に揺れ、飛行機が急激に落ちているのが分かった。
上から酸素マスクが出てきて、救命胴衣を付けるよう指示がある。私も指示に従って装着する。
機体は徐々に徐々に落ちていく。その落ちる速度は、かなり速かった。
10: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:44:01.64 ID:hkS1oNl2o
祈るように握った手には、春香のぬくもりがまだ残っているように感じられた。
11: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:45:14.82 ID:hkS1oNl2o
千早(誰か、誰か…助けて…。神様、お願い…。)
神に縋るように祈るも、奇跡は起こらない。身体が死の恐怖で震え出す。
春香、美希、真、亜美、真美、律子、高槻さん、水瀬さん、萩原さん、四条さん、我那覇さん、あずささん、音無さん、高木社長。
12: ◆RY6L0rQza2[saga]
2014/05/02(金) 22:46:08.60 ID:hkS1oNl2o
このまま、私は、死ぬのね。
そう考えながら窓の外を見る。
雲に囲まれた窓の外は、真っ白な地獄のように感じられた。
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