過去ログ - 【モバマス】「きみがいたから」【結城晴】
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32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:20:14.23 ID:3dnvgWSh0
「……そんな……先輩方が……卒業されること……心細くて……たまりません」

 続きを言おうとして、雪美が言葉を詰まらせた。

 その瞳に涙が光ってた。

 小刻みに肩を震えさせてた。

 体育館に、軽いざわめきが起きる。

 黙り込んだ雪美を責めるみたいに。

「雪美!」

 気づけば、オレは立ち上がってた。

 ……あーあ、やっちまったよ。

 体育館中が静まり返ってて、みんなの視線が集中してると分かったよ。

 そんな中、オレと雪美が、見つめ合ってた。

 そんなわけねぇのにさ、ここにはオレと雪美しか、いねぇみたいだよ。

「ゆっくりでいいんだ。雪美の思ってること、言えばいい。最後まで、オレがちゃんと、聞いてやるからよ」

 オレが笑いかけると、雪美も笑ってくれたんだ。

 それから、はっきりと、頷いてさ。

 ありがとう、晴。

 きっと、そう言ってたぜ。

「……私たちは……先輩方の教えを……胸に……後輩の……手本となります……。彼らが……苦しみ……道に迷っていた時……手を差し伸べる……勇気を……決して……忘れません。先輩方……大変お世話に……なりました。どうか……何も心配することなく……新しい世界へと……羽ばたいて……ください」

 雪美が頭を下げると、すげぇ数の拍手が体育館を埋め尽くした。

 もちろん、オレも誰にも負けないぐらいに手を叩いたぜ。

 ゆっくりと顔を上げた雪美は、緊張の糸が切れたみてぇに、声を上げて泣き始めた。

 頬を真っ赤にして、涙を流す雪美を見てると、不覚にもオレも泣けてきちまった。

 ありがとな、雪美。

 お前と出会えて、本当に良かったよ。


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