過去ログ - 安価で8レス物語
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13: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/05(月) 11:49:11.68 ID:Qdr0JApBo


#5#


薪名「やあ。やっと会えましたね」

人形「えっと……本日はお日柄もよく……」

薪名「緊張しないで。……私はね。貴方に真実をお伝えしたいのですよ」

人形「どういうことですか?」

薪名「オンライン戦闘機アクション、アサルトセル。……これがただのゲームではないとすれば……?」

人形「えっ……」


「西暦2156年。火星のテラフォーミングが完了しました」
「新天地たる火星は、同時に紛争の温床でもあります」
「紛争が激化すると、すぐに戦闘員が足りなくなるので、無人機の技術がより進歩したのは記憶に新しいですよね」
「ですが高度で複雑化した戦場は、AIによる自動操縦ではまだ厳しいところがあります」
「だから、貴方のような優秀なパイロットが無線で操縦する必要がある」


人形「えっと……つまり。アサルトセルは、パイロット養成プログラムだったということですか?」

薪名「その通り。そして、貴方さえよければ、火星でパイロットをやって頂きたいのです」

人形「お断りします。私には、アリスというご主人様が居ます。年に一度しか会えませんけど、彼女のもとを離れるワケにはいきません」

薪名「アリス……。彼女の名前は、『アリス・マーガレット』ですよね」

人形「どこでその名を?」

薪名「彼女は『アメリカ・アフリカ・アジア火星連合(A3MU)』のアジア第3ブロックの所長です」

人形「そんなバカな。私は火星に行ったことなんてありませんよ!」

薪名「……彼女とどのようにして会話していたのか覚えていますか?」

人形「そんなの……当然……あれ……?」

薪名「彼女の家に行ってみなさい」


――――――。


人形「ご主人様……スケジュールにない訪問をお許しください……」


#彼女の家は、典型的な洋館だ。西暦2172年だというのに、まるで16世紀のような建築……。
 人の気配はない。
 彼女の部屋のドアを恐る恐る開ける。


人形「これは……」


#黒い機械がそこにあった。アサルトセルをプレイするのに必要な物と同じ――。
 ブレイン・マウント・ディスプレイ。
 繰り返しになるが、これは、脳に直接つないでデータのやり取りをする機械だ。
 
 ――全て察しがついた。
 私は毎年、時期が来ると、無意識の内にこの機械に入っていたらしい。
 そして幻影のアリスに、物語風でその1年の報告をしていた。
 そして会話データは保存され、火星のアリスに送られる。
 
 ご主人様なりの考えがあるのだろう。
 だが……。

 敵機を撃墜できなかったときのような痛烈な飢え。
 ご主人様に会いたい。




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