57: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/11(日) 21:54:48.91 ID:9VRnZ49Eo
  
  
 #1# 
  
  
 #2024年 5月11日 深夜 
  都内マンション 14階 東京湾の潮風を受けた一室。 
  男が絵を眺め、夫婦の静寂が続く。 
  テーブルの上では、2つの琥珀色の海で小さな氷がたゆたう。 
  ウィスキーは飲み干されることもなく、ゆっくりと温くなっていくのだろう。 
  夫婦は同い年、24歳だった。 
  
  
 幼馴染「……なあ君。ボーっと絵なんて眺めて、どうしたんだい?」 
  
 男「んだよー。悪いかー?」 
  
 幼馴染「もちろん。悪くはないさ。君の横顔眺めているのも悪くない」 
  
 男「飽きないか?」 
  
 幼馴染「君に言われたくないさ。そもそも、自分の見た夢を絵にするなんて、君は物好きだね」 
  
 男「……この夢は、貴方との大事な夢なんだ」 
  
 幼馴染「けどそれは君の夢だろう? 私は知らない、感慨もない」 
  
 男「思い出を共有できないのが怖い?」 
  
 幼馴染「そうとも。君との間に、妙な疎外感を感じる。まるでこの絵の闇に隔たれたように――」 
  
  
 それは精緻な一枚の油絵――――。 
  
 絵の中の夜が降りてくる。 
 満点の星空。 
 月に照らされた私たち。 
 竹箒とカーネーションが印象的だった。 
  
  
  
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