78: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/25(日) 15:21:02.70 ID:d+YVnMr1o
#4#
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半分、白。
半分、黒。
だが人間とは灰色の存在ではない。
綺麗に分離した二種類の人種。
ただし異なる思考の終着点までもが、それで正反対とは限らない。
白も、黒も、同じ決着に至った。
全ては死の忘却の中に。
――――――――。
死神「お前さん。女子高生2人を買っているのも、妊娠させたのも、大々的に公表されたんだ」
男「……事実です。公表されたのも、2人を妊娠させたのも」
死神「何故だい。避妊具を欠かさなかったんだろう?」
男「『暗器』を仕込んでいたんです」
死神「『暗器』?」
男「極細の針の隠喩です。それでコンドームに穴を空ければ、妊娠することができます」
「彼女たちは鎹が欲しかったのです。
膨らんだ妊婦の腹は、忌々しい社会的関係の楔です。
私は、事務所に来て、どちらかとの結婚をせがむ彼女たちを見て、殺意が湧きました。
マネージャーと彼女たちを車に乗せると、2人の妊婦を田舎の山奥で殺害したのです。
当然、マネージャーに罪を着せてね。
芸能界の皆は、口を揃えて言いました」
「あのマネージャーが女子高生2人を妊娠させたうえ、強請られた苦悩から殺した」
とね。警察も形式ばかりの捜査をしてオシマイです。
死神「ゲスいなぁ。よく思いつく」
男「常套手段です。当時の私の年収は約8億円。人の2、3と殺してでも維持すべきコンテンツです」
死神「……その後、お前さんは秘密を隠し通した。だが5年後に事務所が倒産し、後ろ盾を失ったお前さんは糾弾されることになる」
男「私が殺した2人のうち、1人が、当時弱小事務所の娘だったとは、思いもよらない事実でした」
死神「お前さんは裁判にかけられ、懲役20年の実刑判決を受ける」
「そう。殺された娘たちは、私たちを強請る前に、あの弱小事務所に証拠を預けていたのです。
あの証拠のせいで私は没落しました。
……出所したころには、50億の資産が、賠償金と違約金、親戚方に毟り取られたのとで5億相当まで減っていました。
出所時70歳だった私は、人目を避けるように、残りの5億で余生を過ごし、そして……。
今、貴方の船に乗って、三途の河を渡っているところです」
男「どうですか? これが私の一生です」
死神「……反省はしている?」
男「実際のところ、どうなんでしょうか……ただ、閻魔様に全て委ねようかと……」
死神「……閻魔様の心労も考えることだね」
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