79: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/25(日) 16:27:46.88 ID:d+YVnMr1o
#5#
#――死神の時間で約11億年前。人間の時間で約35年前。
三途の河に、いつものように死者が転がり込んできた。
今回は女児だ。彼女を見るなり、その女児はわんわんと泣きだした。
死神「……落ち着いたかい?」
小学生「……うん」
死神「つまりお姉さんは死神なのさ。……痛かっただろう。でも、もう安心。もうゆっくりしていいんだよ」
小学生「……この川を渡り切ったら、お母さんに会える?」
死神「お母さんと同じ場所に行けるかは分からないね……」
小学生「地獄でしょ。大丈夫。きっと私も地獄に行く」
死神「……大人びた子だ。何で地獄に行くと思うのかな?」
小学生「子供なのに、子供を作ろうとしたから……」
「私はアイドルの○×さんが大好きで、追っかけてたの。
ある日急に○×さんの方から声をかけてきて……ホテルに誘われた。
初めては痛かったけど、でも……気持ちよくなってきた。
余裕が出来てきた頃に、思っちゃったんだ……」
「家族が欲しい。家族になりたい」
って。
――――――――。
あの男が孕ませたのは、生涯でふたり。
彼はウソを付いている。
女子高生2人ではなく、小学生と中学生だ。
小学生は『白』だった。
妊娠の問題がマイナスとなって、『浄土行き』は望めないけれども。
だが、死の直前まで一切の『邪道』を考えず、清く翻弄されていたのが閻魔に評価された。
人間道への輪廻を命じられ、次も人間として生まれ変わるそうだ。
中学生は『黒』だった。
彼女も翻弄されていたのには変わりないが、その人格の芯には『邪道』が染みついていた。
針で避妊具に穴を空けた点。女児を道ずれに不貞の妊娠をした点。
事務所と結託して賠償金をせしめようとした点が悪く評価された。
彼女は修羅道への輪廻を命じられ、その後は人間道に格上げされた。
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