151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/11(日) 18:24:17.09 ID:HFutoVZeo
研究員「確かに、私は艦娘……かも、しれません。睦月型かも、しれません……」
研究員「でも、それ以上……それ以上言ったら、私という存在が確定してしまう……!」
研究員「だから、やめて……!」
研究員は耳をふさいでうずくまる。目の前の事実を拒絶するように。
提督「君は……」
――弥生。
研究員「!!」
彼女は顔を上げる。そこは先程までの執務室ではなく、真っ暗でがらんどうな空間だった。
「弥生」
またしても誰かがその名を呼ぶ。
研究員「やめて、ください……やめて!」
彼女は、皆の、睦月型駆逐艦姉妹の死を、受け入れることができなかった。
そして何より、唯一生き残ってしまったのが自分であるということが許せなかった。
だから彼女は睦月であり、如月であり、弥生であり、卯月であり、皐月であり、
文月であり、長月であり、菊月であり、三日月であり、望月だった。
生き残った睦月型駆逐艦の誰か。そんな曖昧な存在な存在でいれば、姉妹艦の死を誤魔化せた。
だって彼女は睦月であり、如月であり……睦月型駆逐艦の誰にでも成り得た。
そうすることで、彼女は姉妹艦の死から目を背けた。
だけどその魔法は、提督によって解かれたのだ。
彼は彼女のことを覚えていた。どんなに外見を変えても、どんなに口調で欺こうとも、
提督の目はごまかせなかったのだ。
魔法の解けた彼女は、都合の良い存在ではいられない。
その存在は、忽ちかつての器へと押し込められていく。
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